平成27年度 松本市立病院 病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位3位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞のICD10別患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位3位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 415 58 177 276 142 203 378 516 690 348
 松本市西部地域に唯一設置された総合病院である当院は、地域医療の中核として質の高い医療を幅広い年齢層の患者さんに提供しています。
 当院は松本市街地から少し離れた高齢者の多い地域に立地しているため、60歳以上の患者さんの占める割合が5割を越えています。全国的には70歳代の患者さんが最も多くなる傾向にありますが、当院では症状が比較的重症になりやすい80歳代の患者さんが最も多くなる傾向にあり、高齢者に対する医療にも力を入れています。
 また、救急医療や周産期・小児医療も充実しているため、10歳未満及び20~30歳代の患者さんが多い事も当院の特徴です。
 平成26年度のデータと比較して、年齢階級の分布に大きな変化はみられません。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位3位まで)ファイルをダウンロード
内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040081xx99x00x 誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 120 24.92 21.69 1.67 87.05 誤嚥性肺炎
050130xx99000x 心不全 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 85 24.66 18.30 1.18 86.49
040080x099x0xx 肺炎、急性気管支炎、急性細気管支炎(15歳以上) 手術なし 手術・処置等2 なし 61 11.56 14.34 3.28 70.62
 当院は高齢者の患者さんの割合が高いこともあり、高齢者に多い疾患である「肺炎」が多くなっています。中でも、嚥下機能の低下が原因である「誤嚥性肺炎」が最も多く、一般的な肺炎である「市中肺炎」の倍の症例数となっているのが特徴です。肺炎の平均在院日数については、全国平均と比較しても大差はなく、適切な治療が提供されているものと判断されます。
 「心不全」についても高齢者の割合が高く、基礎疾患として高血圧や糖尿病、心臓の病気などを持っている方が多いため、若干治療期間が長くなる傾向にあります。
外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060210xx99000x ヘルニアの記載のない腸閉塞 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 37 10.35 9.17 0 72.76
040081xx99x00x 誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 23 23.43 21.69 8.70 83.70
060035xx0100xx 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍 結腸切除術 全切除、亜全切除又は悪性腫瘍手術等 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 19 19.95 17.41 0 75.42 結腸切除術
 最も多い症例は「腸閉塞」の保存加療です。この病気は、何らかの原因により腸の内容物の通過が妨げられることで起こります。治療は、軽症の場合は保存加療ですが、何度も繰り返す場合や、重傷の場合は手術を行います。当院では保存加療を選択する場合が多く、これは患者さんの平均年齢が高いことや、重症化した場合でもすぐに対応できる診療体制が整っていることが理由と考えられます。
 次に多いのは「誤嚥性肺炎」です。物を食べたり飲んだりする際、誤って気道内に嚥下することで発症します。外科では、腸閉塞や癌の終末期など、消化器疾患による嘔吐の繰り返しが原因で発症する肺炎に対して治療を行っています。
 3番目は「結腸がん」で、手術による治療を行った症例です。
整形外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160800xx01xxxx 股関節大腿近位骨折 人工骨頭挿入術 肩、股等 49 59.33 28.70 6.12 80.47 人工骨頭挿入術
大腿骨折観血的手術
160760xx97xx0x 前腕の骨折 手術あり 定義副傷病 なし 20 5.45 5.70 0 56.40
160690xx99xx0x 胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む。) 手術なし 定義副傷病 なし 13 29.08 21.52 0 76.00
 整形外科では「大腿骨頚部・転子部骨折の手術」を行う症例が最も多いです。平均年齢は80歳で、症例のほとんどが高齢者の転倒による骨折です。高齢者の骨折は回復が遅いことや、リハビリ科へ転科して治療を継続する方が多く、在院日数が長くなる傾向にあります。
「前腕骨折の手術」では、受傷後の整復手術や、治療後に骨折箇所の金属を取る必要があると判断された方の抜釘を行っています。平均在院日数は全国平均と同じ位です。
 「脊椎骨折」では、大腿骨頚部骨折と同様に高齢者の転倒によるものが多いです。
 当院では、手術後や保存治療後の患者さんがリハビリテーションの継続を希望される場合、リハビリテーション科へ転科し、集中的な治療も行っています。
小児科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
140010x199x00x 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重2500g以上) 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 95 5.61 6.17 0 0
040080x1xxx0xx 肺炎、急性気管支炎、急性細気管支炎(15歳未満) 手術・処置等2 なし 59 6.15 5.72 5.08 2.31
040100xxxxx00x 喘息 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 40 5.45 6.31 10.00 3.58
 当院は分娩を多く取り扱っているため、小児科では、「新生児疾患」の症例が1番多くなっています。具体的には、新生児黄疸、母子感染、早産児、新生児一過性多呼吸などの疾患が含まれます。
 2番目に多いのは、「肺炎や急性気管支炎などの呼吸器感染」です。冬になるとRSウイルス感染によるものが増加する傾向にあります。
 3番目に多いのは、「気管支喘息」です。気管支喘息は、季節の変わり目である春と秋に多くみられます。
産科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
120170xx99x0xx 早産、切迫早産 手術なし 手術・処置等2 なし 82 13.98 20.87 2.44 30.10
120180xx01xxxx 胎児及び胎児付属物の異常 子宮全摘術等 57 11.07 9.94 0 31.49
120260xx01xxxx 分娩の異常 子宮破裂手術等 46 10.78 9.63 0 31.09
 産科で最も多い症例は「切迫早産」です。切迫早産とは、妊娠22週以降から37週未満の間に分娩が始まりかけている状態をいいます。入院期間は患者さんの状態によるため、個人差があります。
 次いで多いのが、既往帝切後妊娠や骨盤位に対する「予定帝王切開」、胎児機能不全などに対する「緊急帝王切開」です。
 当院では年間500件以上の分娩を取り扱っており、小児科とともに安心・安全な周産期医療の提供に努めています。
婦人科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
120070xx02xxxx 卵巣の良性腫瘍 卵巣部分切除術(腟式を含む。) 腹腔鏡によるもの等 21 7.14 6.50 0 43.67
120060xx01xxxx 子宮の良性腫瘍 子宮全摘術等 16 8.69 10.18 0 44.19
120100xx01xx0x 子宮内膜症 子宮全摘術等 定義副傷病 なし - - 8.05 - -
 婦人科の症例で最も多いのは、「卵巣の良性腫瘍に対する腹腔鏡手術」です。腹腔鏡手術は、おなかにいつくかの小さな穴を開け、その穴の一つに入れたカメラから映し出される映像を見ながら行う手術です。
 2番目に多いのは「子宮筋腫に対する開腹手術」です。年齢や症状、妊娠希望の有無などに応じて、子宮を全部取る子宮全摘術や子宮筋腫だけを取り除く子宮筋腫核出手術などが行われています。
 「子宮内膜症の開腹手術」については、症例数が10件に満たないため、規定により数値を掲載しておりません。
救急科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110310xx99xxxx 腎臓または尿路の感染症 手術なし 15 9.93 12.60 0 77.47
030400xx99xxxx 前庭機能障害 手術なし 13 6.69 5.31 0 69.54
040080x099x0xx 肺炎、急性気管支炎、急性細気管支炎(15歳以上) 手術なし 手術・処置等2 なし - - 14.34 - -
 救急科(総合診療科)で最も多い症例は「尿路感染症」であり、次いで多いのが「めまい症」、「肺炎・急性気管支炎」です。当科では、救急車で搬送された患者さんや初診の患者さんを最初に診察します。その後、各診療科へ振り分けますが、専門的な治療を要しない患者さんについては、内科と外科を中心に幅広い患者さんの入院を受け入れています。
 「肺炎・急性気管支炎」については、症例数が10件に満たないため、規定により数値を掲載しておりません。
リハビリテーション科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160690xx99xx0x 胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む。) 手術なし 定義副傷病 なし 16 57.00 21.52 0 83.19
160800xx99xx0x 股関節大腿近位骨折 手術なし 定義副傷病 なし - - 16.83 - -
160980xx99x0xx 骨盤損傷 手術なし 手術・処置等2 なし - - 21.26 - -
 リハビリテーション科では、「脊椎骨折の治療」が最も多く、整形外科からの転科が6割強を占めているため、整形外科領域の疾患が多い傾向にあります。手術など急性期の治療を行った後、継続的なリハビリテーションを希望された患者さんに対して、集中的な治療を行うことにより、日常生活機能の回復を図っています。
 整形外科疾患以外では、脳卒中や手術後の廃用症候群など様々な疾患に対してリハビリを行っており、他院から当院にリハビリ継続のため転院してくる患者さんもいます。
 「大腿骨頚部骨折」「骨盤骨折」の治療については症例数が10件に満たないため、規定により数値を掲載しておりません。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 21 - - 31 - - 1 7,6
大腸癌 - 17 10 27 - 12 1 7,6
乳癌 22 12 - - - - 1 7,6
肺癌 - - - - - - 1 7,6
肝癌 - - - 23 - - 1 7,6
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
 当院では「消化器病センター」を設置し、消化器癌(胃癌・大腸癌)については内科と外科が連携して治療にあたっています。胃癌については早期であるⅠ期の患者さんが多く、内視鏡による治療を中心に行っています。大腸癌についても早期であるⅠ~Ⅱ期の患者さんが多く、内視鏡による治療や負担の少ない小範囲の開腹手術を行っています。
しかしながら、Ⅲ~Ⅳ期といった転移のある患者さんの数も少なくはなく、手術や化学療法など患者さんの状態に合わせた幅広い治療を行っています。
 乳癌についても早期であるⅠ~Ⅱ期の患者さんが最も多く、3D撮影が可能なデジタルマンモグラフィーを活用し、最新の設備のもと早期発見・早期治療に努めています。
 肝癌については外科的な手術の他、肝動脈塞栓療法(癌に栄養を送る血管を詰まらせる)や、ラジオ波治療(熱線で癌を死滅させる)も行っています。
 なお、不明の分類については、治療前で検査入院の患者さんであったり、身体への負担が大きすぎて精密検査や治療が行えない高齢者の患者さんが該当しています。
成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
患者数 平均
在院日数
平均年齢
重症度 0 16 6.38 50.69
重症度 1 14 11.50 77.29
重症度 2 19 17.42 81.89
重症度 3 14 12.21 83.14
重症度 4 - - -
重症度 5 - - -
不明 - - -
 患者数については「中等症(重症度1~2)」が最も多く、次いで「軽症(重症度0)」「重症(重症度3)」「超重症(重症度4~5)」の順になっています。
 平均在院日数については、重症度が高くなるとともに長くなる傾向が見られます。平均年齢についても同様の傾向が見られ、市中肺炎は年齢が高くなると重症化しやすいことがわかります。
 なお、「重症度4」「重症度5」については患者数が10件未満のため、規定により数値を掲載しておりません。

 肺炎は、日本人の死因第三位であり、死亡者の95パーセント以上が65歳以上の方と言われています。このため65歳以上の方は、肺炎予防や症状の軽減が期待される「肺炎球菌ワクチン」を接種することができます。詳しくは、お住まいの市町村にお問い合わせください。
脳梗塞のICD10別患者数等ファイルをダウンロード
ICD10 傷病名 発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
G45$ 一過性脳虚血発作及び関連症候群 3日以内 11 3.91 84.36 0
その他 - - - -
G46$ 脳血管疾患における脳の血管(性)症候群 - - - - -
I63$ 脳梗塞 3日以内 36 38.44 84.64 5.13
その他 - - - -
I65$ 脳実質外動脈の閉塞及び狭窄,脳梗塞に至らなかったもの - - - - -
I66$ 脳動脈の閉塞及び狭窄,脳梗塞に至らなかったもの - - - - -
I675 もやもや病<ウイリス動脈輪閉塞症> - - - - -
I679 脳血管疾患,詳細不明 - - - - -
 脳梗塞については、「脳神経外科」及び「リハビリテーション科」が連携して治療にあたっています。
 最も多い分類は「I63$(脳梗塞)」に分類される症例であり、このうち発症日から「3日以内」の「急性期脳梗塞」が集計対象全体の約7割を占めています。「その他」の分類については、症例数が10件に満たないため、規定により数値を掲載しておりません。
 「急性期脳梗塞」については、まず脳神経外科にて脳の血流を良くする薬や、脳を保護する薬を投与し治療を行います。後遺症が残らなければ退院となりますが、身体の麻痺に対する治療が必要な場合は、リハビリテーション科に転科して入院治療を継続します。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位3位まで)ファイルをダウンロード
内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7211 内視鏡的結腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) 96 0.18 2.27 0 66.35 大腸ポリペク
K721-21 内視鏡的大腸ポリープ切除術(長径2cm未満) 58 0.24 2.43 0 67.43 大腸ポリペク
K6871 内視鏡的乳頭切開術(乳頭括約筋切開のみ) 21 1.90 7.43 0 71.33
 内科では、大腸ポリープや大腸腫瘍に対する内視鏡による手術、いわゆる「ポリペク(ポリペクトミー、ポリープ切除)」が最も多く、結腸(96件)と直腸(58件)あわせて154件の実績があります。治療日程は、入院日に手術を行う2泊3日のスケジュールが典型的です。
 次に多いのが「内視鏡的乳頭切開術」です。これは、胆石が胆管に詰まり痛みや炎症を引き起こしている場合、石を引き出したり砕いたりするために、内視鏡で胆管の入口である乳頭を切り開く手術です。
 当院では「消化器病センター」を設置し、内科医と外科医が連携して治療を行うことで、身体への負担が少ない内視鏡による治療を多く実施することができています。
外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6335 鼠径ヘルニア手術 37 0.78 3.84 0 68.65 鼠経ヘルニア・全身麻酔
K7193 結腸切除術(全切除、亜全切除又は悪性腫瘍手術)<亜全切除> 18 3.00 17.61 0 75.17 結腸切除術
K4763 乳腺悪性腫瘍手術(乳房切除術(腋窩部郭清を伴わない)) 14 1.07 9.50 0 67.00 乳房部分切除術
 外科では鼠径ヘルニア手術が最も多くなっています。鼠径ヘルニアは一般的に「脱腸」と呼ばれ、本来お腹の中にあるはずの腹膜や腸の一部が、鼠径部などの筋膜の間から皮膚の下に出てくる病気です。当院では入院2日目に手術を行い、入院5日目で退院する症例が多いです。
 結腸切除術は大腸癌に対する手術です。内視鏡では取り切れない大きさの癌に対して行われます。当院では開腹手術が多いですが、腹腔鏡手術も行っています。
 乳腺悪性腫瘍手術は乳癌に対する手術です。入院2日目に手術を行い、入院10日目くらいで退院となる症例が多いです。乳癌の手術は、腫瘍が出来た場所やがんの種類によって、治療法が多種多様です。そのため、術前や術後に化学療法を行う症例もあります。
整形外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0461 骨折観血的手術(大腿)<内固定を行なう> 等 47 4.70 47.51 6.38 79.32 大腿骨折観血的手術
K0462 骨折観血的手術(前腕)<内固定を行なう> 等 17 2.47 15.88 0 57.00
K0483 骨内異物(挿入物)除去術(前腕)<挿入物> 等 13 0.92 1.77 0 54.92
 整形外科では、大腿骨頸部・転子部の骨折の患者さんが最も多く、手術数も同様に骨折観血的手術(大腿)が最も多くなっています。転倒などを契機に入院となり、術前検査をしてから手術となります。手術後に、患者さんが継続的なリハビリを希望される場合、当院のリハビリ科に転科し、さらに集中的な治療を行います。高齢者の患者で骨折の回復が遅いこともある症例や、リハビリ科で治療を継続する症例があり、在院日数が全国平均より長くなっています。
 2番目に多いのは骨折観血的手術(前腕)になります。前腕の骨折は、転倒や物に挟まってひねった事などがきっかけで起こります。当院では入院2日目に手術をして、術後2週間程で退院となります。
 骨内異物除去術(前腕)は、骨折箇所に埋め込んだ金属を抜く手術になります。埋め込んだ金属が体に影響を与えることもあるため行われます。おおよそ3日程で退院となります。
産科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8981 帝王切開術(緊急帝王切開) 57 1.60 8.47 1.75 30.67
K8982 帝王切開術(選択帝王切開) 54 3.57 8.59 0 32.00 予定帝王切開術
K9091 流産手術(妊娠11週まで) 15 0 0.33 0 32.00
 産科で1番多い手術は、「帝王切開」です。帝王切開には「緊急帝王切開」と「予定帝王切開」があります。分娩前や分娩中にお母さんや赤ちゃんに何らかの異常が起きて、早急に赤ちゃんを取り出す必要があると判断された場合に行うのが、緊急帝王切開です。予定帝王切開は、逆子や前回の分娩が帝王切開だった方など、あらかじめ自然分娩が困難と判断された場合に計画的に行う帝王切開です。
 次に多いのは「流産手術」です。流産手術とは、胎児死亡後も出血などの自覚症状がない稽留流産や子宮内容物が一部残存している不全流産などに対して行われる子宮内容除去手術のことをいいます。
婦人科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K867 子宮頸部(腟部)切除術 23 0.87 1.00 0 37.91 円錐切除術
K8882 子宮附属器腫瘍摘出術(両)(腹腔鏡) 23 1.09 5.17 0 44.00
K877 子宮全摘術 17 1.00 7.29 0 46.41
 婦人科で1番多い手術は、「子宮頸部(膣部)切除術」と「腹腔鏡による子宮附属器腫瘍摘出術」です。
 子宮頸部(膣部)切除術とは、LEEPという電気メスを使った円錐切除術のことをいいます。主な疾患は子宮頸部高度異形成です。手術は脊椎麻酔で行われ、入院期間は基本的に2泊3日となっています。
 腹腔鏡による子宮附属器腫瘍摘出術は、術後の痛みが少ない・手術の傷が目立たない・早期の社会復帰が可能・術後の癒着が少ないなどのメリットがあり、患者さんの身体的な負担を軽減することが大きな目的の手術です。主に良性の卵巣腫瘍に対して行われています。
 次に多いのは、「子宮全摘術」です。主な疾患は子宮筋腫となっています。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 - -
異なる - -
180010 敗血症 同一 12 0.37
異なる 23 0.72
180035 その他の真菌感染症 同一 - -
異なる - -
180040 手術・処置等の合併症 同一 14 0.44
異なる - -
 「播種性血管内凝固症候群」や「敗血症」は、DPCでは高額な点数が設定されている(入院医療費が高くなる)ため、臨床的に根拠のある診断でなければアップコーディング(不正な入院医療費請求)を疑われかねないDPC病名とされており、請求率が高くならないよう注意が必要です。
 「敗血症」については、入院の契機となった病名が異なる症例が23件あり、肺炎が3件、尿路感染症が3件、胆管炎が2件などでした。これらは、入院後に全身状態が悪化し、重篤な病態に至ってしまった症例です。
 「手術・処置の合併症」については、定期的に透析治療を受けられている方の合併症(シャント閉塞など)が6件、ポリペクなど内視鏡による手術や検査の合併症(後出血など)が6件、手術後の合併症(術後感染症など)が2件でした。これらは事前に予期されていたものであり、数日で軽快・治癒しています。
 手術や処置などは合併症を起こさないよう細心の注意を払って実施していますが、どうしても一定の確率で起こってしまいます。起こり得る合併症については、事前に可能な限り患者さんに説明したうえで、手術や処置の実施に同意をいただけるよう努めています。
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