医療事故発生のお詫び
202507.22
事務部
1 はじめに
松本市立病院では、日頃から安全・安心な医療の提供に努めておりますが、今回、当院の産科分娩時において、「重症新生児仮死」という医療事故が発生したため、今後、同様の事故を繰り返さないために報告いたします。
2 事故内容
事故発生の前日の朝、陣痛が発来したため入院されました。高血圧が認められたため、降圧剤治療を開始しました。陣痛は弱い状態でしたが、緩徐に進行しました。引き続き経過をみましたが、その後助産師が分娩監視装置の判読を行わず、分娩監視業務を怠ったため、胎児の状態が十分に評価されていませんでした。深夜の状態から急速遂娩が必要と判断したために、吸引分娩にて胎児を娩出しましたが、出生直後から重篤な状態となりました。新生児蘇生をされましたが、後に低酸素性虚血性脳症と診断されました。
3 発生に至った原因
⑴ 胎児心拍モニターの波形の評価が適正にされていなかったこと。
ア 胎児心拍モニターの監視業務は助産師の業務であることの認識が当該助産師には不十分であった。
イ 助産師が胎児心拍モニターをきちんと判読せず医師への報告をしなかった。
⑵ 医師、助産師間のコミュニケーションが不足していたこと。
⑶ 病院として、安全に分娩を行うための管理体制が不十分であったこと。
4 再発防止策の実施と分娩体制の見直し
⑴ 再発防止策として、以下の事項について直ちに取組みを行いました。
ア 正常分娩のマニュアルの再整備
イ ガイドラインに則った報告スタイルの採用
ウ 助産師のスキルの把握とスキルアップ支援
エ 定期的なチームカンファレンスの開催と分娩体制の確認
⑵ 7月23日から分娩を休止し、分娩体制の見直しを検討します。なお、現在通院されている妊婦の皆さんには、個別に意向をお伺いした上で、他の医療機関をご紹介させていただくなど、それぞれの希望に沿えるよう責任をもって対応してまいります。
5 結語
今回の事故は、病院として産科分娩の安全管理ができていなかったことが大きな原因です。患者様、ご家族様に大変なご心労をおかけしていることを心よりお詫び申しあげます。
今後、再びこのような医療事故を起こさないよう、再発防止策の徹底に努めると共に、医療安全に対する意識の向上と、患者様と市民の皆様の信頼回復に向け、職員一同、全力で取り組んでまいります。
令和7年7月22日
松本市立病院
松本市病院事業管理者 北野 喜良
院長 佐藤 吉彦